“下肢静脈瘤”ってどんな病気?

下肢には「動脈」「静脈」「リンパ管」という3系統の脈管が存在しています。

下肢静脈瘤は脈管のなかで静脈と呼ばれる「血液を足から心臓に戻す」血管の不調が原因となって生じる疾患です。体表を走行する静脈に問題が生じて足に血液が溜まってしまう(うっ滞)ことが原因になります。

自覚する症状としては以下のようなものがあります。

1: 足の血管がボコボコと膨んだり、網目状の血管が浮いて見える。

2: 足がむくんで腫れる。だるい。痛くなる。冷える。火照る。

3: 足がよくつるようになった。

4: 足が痒くなる。湿疹ができる。皮膚の色が黒ずむ。

5: 足の傷がなかなか治らない。

特に上記2や3のような症状では「不定愁訴(原因がはっきりせず訴えが一定しない症状)」として扱われることも少なくないので、検査や治療がなかなか進まずに困っている患者さんをよく見かけます。しかし下肢静脈瘤は放置すると色素沈着や皮膚硬化(脂肪皮膚硬化症)、血栓性静脈炎、鬱滞性皮膚潰瘍(皮膚がえぐれてしまう)など、次第に悪化してしまうので、早い段階から正確な診断と適切な治療を受けることが大切です。

以下のような条件に当てはまる方は注意が必要です。

①立ち仕事をしていた ②2回以上の妊娠出産 ③肥満気味 ④ご両親ご兄弟に同様の症状がある ⑤ご高齢

下肢静脈瘤の検査と治療

静脈瘤の原因となる血管の不調は、静脈についている逆流防止弁の障害が大半を占めています。この弁がうまく機能している時は血液が心臓に流れていきますが、弁が壊れると血液が心臓に向かわず足に向かって逆流してしまうので、上で述べたようなさまざまな症状が出てきます。

診断は足の慎重な観察と超音波検査です。ボコボコと膨らんだ血管よりも体に近い、足の付け根に原因があることが非常に多いことから、診察や検査は股から足首までの血管走行や血液の逆流を調べます。これらの診察や検査は痛みを伴いません。重症例や過去に治療を受けたことがある再発例ではCT検査や静脈造影検査が必要になることがあります。

治療は逆流する血管を塞き止めて足の血液うっ滞を解除することがポイントになります。

① 保存的治療: 長時間の立ち仕事を避ける、足を上げて休憩する、弾性ストッキングを使用して足に溜まった血液を追い出す圧迫治療などがあります。症状をある程度改善させることが出来ますが、壊れた血管の弁が治るわけではないので根本治療とは言えません。

② 手術/カテーテル治療/硬化療法: 逆流している広範囲の血管を手術やカテーテル、硬化剤等で処理します。状況によっては血管の根本を縛って逆流を止める局所的な手術を選択します。比較的軽度な場合や手術の補助的な手技として、瘤化した血管に対する部分切除術や局所の硬化療法が加えられることもあります。

現在では重症度や状態に応じて、メスを使わないカテーテル日帰り治療や、内視鏡を用いた結紮切離などの低侵襲治療についても保険診療で行うことができます。それぞれの治療に利点と欠点があり、個人個人の病状や所見、ご希望なども取り入れながら治療を組み合わせます。

日帰り手術について

手術適応となる下肢静脈瘤に対しては、これまで逆流した血管を抜き取る「ストリッピング」と呼ばれる手術が中心でした。しかし2011年にカテーテルを用いて逆流血管を処理する治療法が保険診療として認可され、現在では静脈瘤治療の第1選択と言えるまで広まりました。この治療法は皮膚を全く切ることなく治療が完結するので、術後の痛みが極めて少なく、傷跡も残りません。また出血や創部感染など術後合併症のリスクも大きく減らすことができるようになりました。

当院で行っているカテーテル治療は、針を刺す部分の皮膚と血管の周りに局所麻酔を用いるだけの日帰り治療です。全身麻酔や下半身麻酔、下肢ブロックなどの麻酔を必要とせず、治療時間も片足10-20分程度と短時間で終わるため、高齢者や併存疾患などで治療を迷われている方でも安全に治療を行うことができます。また術後の痛みも極めて少なく、手術当日からいつもとほぼ変わらない日常生活を送って頂けます。

※ 治療前後の画像につきましてはインターネット広告規制のため、ご来院時にご呈示させて頂きます。

一方でカテーテル治療は全ての患者さんに適しているわけではありません。例えば強い蛇行血管や太すぎる血管では治療の失敗や再発のリスクが高くなります。正しい検査診断のうえで、それぞれの患者さんの病態に最も適した治療法を選ぶことが重要です。